予備試験 過去問の出題範囲分析(憲法 短答式)【勉強の力点を探る】
以前に独学で司法試験・予備試験の勉強をしてみようと書きました。
あの日以来、憲法、刑法、民法の本をいくつか読んでみましたが、やはり学習量は多いなあという印象です。
しかも、この基本三法以外にも、行政法や訴訟手続きに関する法律も勉強しなくてはいけません。
社会人で時間がない中、予備試験を突破するには、学習範囲のメリハリが必要そうです。そこで、まずは各法律において、どの部分を意識してインプットすべきか作戦を立てたいと思います。
どのように行うかというと、
1)各法律の構成を理解する
2)それぞれの分野で、どのような問題がどれくらい出ているかを理解する
という方法です。
その理由は、調べてみると予備試験(司法試験も)突破には、過去問中心に取り組むことが効率的な勉強法のようだからです。
特に、学生ではなく学習時間に制限がある場合は、過去問以外に手を出している暇もなさそうです。
過去問の出るところを中心にインプットしていくことが限られた時間を有効に使う手段と考えました。実際にどのような問題が出されるのか、まずはイメージを持ちたいと思います。
平成23年から平成30年までの憲法予備試験(短答式)の出題を確認してみます。
憲法の構成と出題状況
憲法には大きく全体の理念が書かれた前文・総論部分、保障する権利を規定した「基本的人権」部分、保障を実現する国の運営方法が書かれた「統治」に分かれているようです。
それぞれの学習分野と出題傾向は以下の通りです。
憲法総論
憲法の概念
H29
近代立憲主義
法の支配
憲法保障
法解釈の方法
憲法成立の法理
H25
憲法の最高法規性
H25
憲法前文
人権の国際的保障
H27
日本国憲法の基本原則
主権
国民主権
天皇
天皇の機能
天皇の国事行為
天皇または皇室
H24、H28
平和主義
憲法9条
H23、H26、H29
人権総論
享有主体
H26
法人の人権
外国人の人権
H29
公共の福祉
特別な法律関係における人権の限界
H25、H27、H30
私人間効力
H28
国民の権利及び義務
幸福追求権
プライバシー権
H23、H25
法の下の平等
H24、H26、H27、H28、H29、H30
思想良心の自由
H23、H29
信教の自由
H26、H27(政教分離)
表現の自由
H23、H29、H30
H28、H30(取材の自由)、
H24、H26(検閲と事前規制)
集会の自由
H25
通信の秘密
学問の自由
H25、H26、H28、H30
職業選択の自由
H24、H29
居住・移転の自由
H28、H30
財産権の保障・制限
H23、H24、H27、
人身の自由
H25、H30
参政権
H26、H28、H29、H30
社会権
H26、H27、H29(生存権)
H23、H25(教育を受ける権利)
H26、H28(労働基本権)
受益権
H23、H24、H27(国家賠償請求権)
国民の義務
H24
統治総論
統治機構の基本原理
政党
H23、H24、H25、H27、H28、H30
国会
唯一の立法機関
二院制
国会の機能
衆議院の優越
H24、H30
国政調査権
国会の会期性
H25
議員の自律権
国会議員の地位と機能
H26
内閣
内閣
独立行政委員会
内閣総理大臣
H27、H28、H29
法案提出権
衆議院の解散権
条約
H24、H30
裁判所
法律上の訴訟
司法権
司法権の限界
H23、H24、H25
裁判の公開
H27
違憲審査制
H23、H26、H27、H28、H29
財政
財政制度
H25
租税法律主義
H26
予算と決算
公の支配
地方自治
地方自治
H27、H30
条例
H23
憲法改正
H23、H24、H28、H29
見てみると、出る場所に差はあるようです。
一方で、短答で得点を取るためには、重要論点に関する100%の理解だけでなく、その周辺の知識についてもしっかりとした理解が必要のようです。
働きながら予備試験突破!~第1関門・短答突破には何が必要?~
結局すべて勉強しなくてはいけないのですが、気持ちとして以下のような力点を持って勉強したいと思います。
- 憲法の総論は、すべての根幹となるので、ちゃんと理解
- 憲法9条の平和主義について理解
- 日本国憲法における天皇の意味を理解
- 人権の主体について理解。特に外国人や公務員など制限がある部分の理屈
- 法の下の平等についてその意味を理解
- 精神的自由に対する権利を理解。特に表現の自由、学問の自由。
- 参政権、社会権、受益権について理解
- 政党の憲法的な位置づけについて理解
- 内閣と内閣総理大臣について理解
- 司法権の限界、違憲立法審査について理解
- 憲法改正手続きについて理解