賢い子になる子育ての心理学からの学び
子育てをしていると、正解がないため本当に自分の対応が子供の為になっているのかと、考えてしまうことがあります。
親としては、健康で自立してまっすぐな子供に育ってほしいという思いがありますが、そのために必要なコツを、植木理恵さんという心理学者の方の本から学ぶことができました。
いくつかなるほどと思った点を、親の悩みと共に紹介します。
自分の子供に何の適性があるのかわからない
一つのことに集中できない
自分の子供を見ていて、「次から次に興味の対象が変わるな」と思うことがあります。そして、いつか何か一つのことを習得することができるのかなという不安も。
その点について、そもそも人間は生まれ持ってDNAによって決められた気質としての向き不向きがあり、何か一つのことに集中できるかどうかも、気質に依ることがあるということでした。
具体的には、「内向的/外向的」と「情緒安定/情緒不安定」の掛け算で計4パターンあります。それぞれ優劣はなく、性質としての違いです。
内向的な気質とは、行動の決定を自らの内側に求めるタイプです。つまり自分の心の尺度に従って動くような性質です。それに対して外向的な気質とは、行動の決定を外に求めるタイプです。つまり周りの状況に判断材料を見つけようとしたり、空気を読んだり する性質です。
植木 理恵. 賢い子になる子育ての心理学
行動の優先順位に対して、自分の感情を大切にするのが内向的、周囲の状況に配慮するのが外向的と理解しました。
「情緒安定」は、あまり一つのことに固執せずに曖昧さを許容できるタイプ、「情緒不安定」は、一つのことに集中しちゃんと結果を出さないと気持ち悪いというタイプのようです。
確かに、仕事をしていても「なんでそんなにこだわるんだ!」と思うことがありますが、それは相手が情緒不安定型で、自分が情緒安定型なんだなと気づきました。そして、自分の子供も情緒安定型の可能性が高いということも。
たぶん、子供は「外向×安定」型。集中していないように見えることを短所ととらえず、色んなことに興味がある長所と考えるとすっきりします。さらに、これをやりなさいではなく、「いま、何がしたいか」を聞いて、主体性を持てるチャンスを与えていくことも大事だと思いました。
適性を見つけるヒント
人間の気質で方向性が決まるとして、具体的に何に向いているのかは、それでも親として気になるところです。ただ、前提として子供の適性を簡単に見極めることは難しいようです。
その中でヒントとなるのが、今何人くらいのお友達と遊んでいるのが心地よさそうかというもの。この傾向は大人になっても変わらないようです。
その傾向から、一人でコツコツやるのか、大人数で何かをしたいのかを推測することはできます。
また、日ごろから偉人の話をして、どのような偉人に興味を持つ(憧れる)かでの推測もできそうです。そのためにも、日ごろからの子供とのコミュニケーションが大事ですね。
ちゃんと自分を認められる大人になれるか不安
日本の若者は自己肯定感が低いという調査結果があるようです。自分の人生経験からも、いかに自分を認めてあげられるかが自信となり、しいては人生の充実感に繋がると感じています。
ただ、この自己肯定感は大人になってから伸ばすことが難しいとのことです。
親として、子供の自己肯定感、自尊心、自信をつけてあげるために、どんなことができるのでしょうか。
子供との距離感が大事
感覚的にはわかりますが、やはり子供とのスキンシップが重要なようです。泣いたときにちゃんと抱きしめてあげることが、自己肯定感につながります。
泣いていたら抱いてもらえた……その経験の積み重ねによって「自分は生きていく価値がある存在なんだ」とはじめて知り、人を信頼し、自分を肯定的に認識する気持ちを育むことができるのです。抱かれずに放っておか れがちな赤ん坊は、孤立感と不安感を膨らませ、自立する心が育ちにくく なることもわかっています。
植木 理恵. 賢い子になる子育ての心理学
幼少期におけるこのような過保護なほどの愛情表現は、自分への基本的な 自信を育み、他者を信頼できる心をつくるためには、必要不可欠なことなのです。
植木 理恵. 賢い子になる子育ての心理学
また、日本独自かもしれませんが、ふすまの距離感や川の字になって寝るということも、子供を放置せず干渉しすぎず、子供の成長にとって良い距離感を実現するために有効なようです。
達成感と承認
さらに自信をつけるためには、自身の経験として努力をして何かを成し遂げることがあると思います。その目標設定のヒントとして「なりたい自分、なれる自分」それぞれの目標を持つことが、子供の心からの満足になります。
なりたい自分は、「将来、プロ野球選手になりたい」という夢としての目標、なれる自分は、「球を10メートル投げられるようになる」という自身の努力で達成できる目標です。
なれる自分を積み重ねていくことが自信になるのは想像できます。親として、子供の目標を小分けにしてあげて、達成感を与えてあげるのが肝だなと考えました。
また、子供のほめ方にもコツがあり、間接褒めが有効なようです。これは直接褒めるのではなく、誰かを経由したこととして伝える方法です。例えば、「先生が、すごく友達に優しくできていたって褒めていたよ」という感じです。これは、褒められた内容により客観性が出て、響くため有効ということでした。
バランスは保ちながらも、適切な承認は重要だなと再確認しました。
ちゃんと躾けられた大人になれるか不安
なんで言うことを聞かないのか
子供の行動とそれに対する話の中で、「なんでわからないんだ」と思うことがあります。それは、子供にとって「わかる/わからない」という軸がなく、「できる/できない」という軸で動いているためのようです。
確かに、トイレットペーパーを全て引っ張り出した時の子供の顔は全く悪びれる様子もなく、爽快に「僕できたよ!」と言ってるように見えます。
この「できたこと」を満たしていかないと、その高次にある「わかりたい」という知的好奇心に至らないのが子供とのことでした。まずは、できたことに理解を示すことが先手ですね。
また、子供が言うことが聞かない理由に、親が子供の話を聞いてないパターンもあるようなので、子供が言うことを聞かないときには、自身を振り返りたいと思います。
躾けや叱り方のバランスを意識
躾けるために叱ることは親としても苦悩が多いです。大事なのはメリハリ。あまりダメ出しになりすぎないようにすることが重要なようです。
例えば、食事中に食事のマナーについて叱ることは、心理的なマイナスが大きいとのことでした。それは、子供にとって食事が「栄養」と「リラックス」の両方を摂取しているためです。このリラックスは伸びやかな心を育むために必要な要素です。
食事のマナーについて躾けるときは、食事をしながらではなく一度しつけをしたうえで、笑顔で食事に戻るというメリハリが効果的とのこと。
また、叱るときに選ぶ言葉のチョイスにもコツがあるようです。「論理語」とよばれる正論を軸にした客観的な言葉と、「感情語」と呼ばれる感情を表現する主観的な言葉あり、それをミックスしたほうが子供には伝わるようです。正論だけでなく、「お母さんは悲しいよ」といった感情語を交えながらのほうが良いということですね。
ちゃんと学校の勉強についていけるか不安
習慣が一番
勉強ができるようになる1番大事なことは学習する習慣でした。小さいうちから机に向かい何かに取り組むという習慣をつけていくことで、小学生になっても勉強についていける素養が身につきます。
目安としては、小学校1年生で30分は机に向かえること。
スモールステップとして、少しずつの成功体験を積み重ねさせてあげることが必要だと思いました。
アウトプットのチャンスを与える
子供に親として支援できるならしたいこととして、自分で考えられる思考力をもってほしいという思いがあります。 そのために重要なのは「アウトプットすること」のようです。それは、人間の思考が働くのが、人に伝えるときだからという理由です。
当たり前のことかもしれませんが、事あるごとに子供に対して意見や感想を求めていくことが、思考力要請につながりそうです。
子供の「なんで?」を大事にする
子供は好奇心の塊。何にでも興味を持ちますが、この好奇心が知性を養うのには大切だと思います。親としては危険のない限り、子供の自由にさせてあげたいところです。
また、親として「なんで?なんで?」と聞かれたときに、根本的過ぎて答えに窮することがあります。そんな時は、「なんでなんだろうね?」と同じ目線で考え、共感し会話してあげることで十分ということが書かれていました。
親としてはそこに威厳を求めずに、一緒に考えてあげれば良いんですね!
人柄や能力は、子供のころの体験が大事。好奇心や冒険心を育てることが、豊かな人間を作るのだ。
井深大(SONY創業者)
明日からも、子供の目を見て、恥ずかしくないように生きていこう。